手ゴネなのに生地が手にくっつかない!?高加水パンの作り方

切り分けられた高加水タイプ山食パン 食育
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高加水パンとは

強力粉(パン用の小麦粉)の分量に対して水分(加水率)を70%以上にしてできるパンを「高加水パン」と呼びます。

「高加水パン」の例は、フランスの「バゲット」や「カンパーニュ」、イタリアの「フォカッチャ」です。焼きたての高加水パンは、外はカリカリ、中はフワフワ・モッチリとした食感を楽しめます。

高加水パンの問題点と解決法

高加水パンは、水分を多く含んだ生地を350℃といった高温のオーブンで一気に焼き上げるもので、生地作りや成形の知識や職人技、パン専用の機材がない一般家庭で作るのは困難なのです。

市販品の高加水パンの問題点

高加水パンは焼きたてが一番おいしいです。バゲットなどの高加水パンが日常に食べられているフランス、パリなどのヨーロッパの都市と比べて、湿度が高い日本では時間が経過すると外はカリカリ、中はフワフワ・モッチリの食感がなくなっていきます。そのため、工場でパンを大量生産して、袋づめして店頭に並べる日本の大手パン・メーカーの販売スタイルでは、おいしい状態を維持するのに向いていません。

一方、町のベーカリーには、店内で高加水パンを生地から作り、パン窯から取り出して焼きたてのおいしいパンを販売している店があります。高加水パンの基本の材料は小麦粉、水、イースト菌、砂糖、塩とシンプルなため、材料費はパンの販売価格と比べて決して高くないはずなのです。しかし、量産効果があまり出せない町のベーカリーは、大手メーカーと比較してパンの販売価格が高めで、食べたいパンの有無やパンの焼き上がり時間など、必ずしも自分の都合にあう訳ではありません。

焼きたての高加水パンを手頃な価格で楽しむための解決法

おいしい焼きたての高加水パンを手頃な価格で楽しむためにはどうすれば良いのでしょうか。当サイトでは、下記を解決法としています。

焼きたての高加水パンを手ごろな価格で楽しむための解決法
  1. インターネット検索によって得られた高加水パンのレシピを参考にして、自分で作る。
  2. 主原料の強力粉(グルテンの多い小麦粉)を10Kgまとめ買いして、無駄なく消費する

高加水パンのレシピは、インターネットで検索すると署名なベーカリーのパン職人やパン教室の講師が解説しているレシピを見つけることができます。専門用語が多かったり、専用の機器を使っていたりしていますが、学ぶべきノウハウが紹介されています。

パンの主原料の強力粉は、薄力粉よりグルテンが多くて高価なこともあり、一般家庭で強力粉を使う機会は少ないです。そこで、賞味期限内に無駄なく消費するため、薄力粉を使うのをやめて、週に1回程度の頻度でパンを焼き、その他の小麦粉料理(例:ホットケーキ、ピザのクラフト、中国の蒸しパン:「マーラーカオ」、沖縄のホットケーキ:「ちんびん」、お好み焼き、韓国のお好み焼き:「チジミ」)も強力粉で作ることにしました。これにより、強力粉を10Kgまとめ買いしても賞味期限内に使い切れるようになりました。

インターネット通販を利用すると、国産の強力粉10Kg(例:「春よ恋」パン作りに使える国産の強力粉の品種)をまとめて購入することにより、スーパーなどのお店でパン用の強力粉1Kgを買うより、キロ単価換算で安く入手することができます。10Kg単位の購入といっても、10Kgの大袋ではなく、2Kgx5袋や2.5Kg x 4袋など小分けしてジッパー袋に詰めてあるものを購入しています。

国産の強力粉を使うことで、輸入小麦で問題とされているポスト・ハーベスト農薬も気にしなくてよくなりました。

これで、焼きたてのおいしい高加水パンを手ごろな値段で実現するため、自分で高加水パンを作れる確信が持てましたね。

ホームメイド高加水パンの問題点

初めて手ゴネの高加水パンを作った時は、インターネット検索で見つけた数種類の高加水パンのレシピを参考にしたのですが、小麦粉に混ぜる水分が多いため、生地が手や台座などにネバネバくっつき、10%以上の生地がパンになる前に消えてしまいました。(笑)

一般家庭でよく使われているオーブン・レンジは最高でも250℃までしか上がらないタイプが多いのです。そのため、パンの内部まで充分に火が通らずに生焼けになってしまい、パンをカットして焼き直しても、期待した食感が得られませんでした。

生焼けを防止するために、次の2つを試しましたが良い解決法にはなりませんでした。

  • 温度を低めの200℃以下に設定してパンの中までじっくり時間をかけて焼こうとすると、赤外線ヒーターの熱が直接パンに当たり過ぎて、表面が黒く焦げてしまいました。
  • パンのサイズを小さくすると、内部のフワフワ、モッチリした部分が少なくなってしまいます。

ホームメイド高加水パンで直面した問題点の解決法

高加水パン作りの試行錯誤の経験から、次の方法でこれらの問題点を解決しました。

ホームメイド高加水パンで直面する問題点の解決法
  • 先が丸いスケッパーを利用して、ミキシング・ボール内で生地を混ぜる。
    • 高加水パンの生地を手でほとんど触らない。
  • 無塩バター(または、無塩マーガリン)やミルクなどの油脂を生地に入れることにより、混ぜる際にボール内面やケッパーや手に生地が付着し難い。
  • オーブンの温度を180℃にして、時間をかけてじっくりパンを焼く。
    • パンの表面においしそうな焼色が付いたら、アルミホイルでパンの表面をおおい、赤外線ヒーターの熱でパンの表面が黒く焦げるのを防ぐ。

「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンを作る準備

「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンの材料

外は(2種類の)「カリカリ」、中は「フワフワ・モッチリ」の食感が味わえる「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンの具体的な作り方をご紹介します。(地元のベーカリーで一斤1,000円以上で販売されているような食パンになります。是非、お試しください。)

「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンの材料(4人分)
  • 強力粉(例:「春よ恋」)   300g
  • 塩              5g
  • 砂糖(グラニュー糖)     15g
  • ドライ・イースト       3g
  • 無塩バター(無塩マーガリン) 20g
  • ミルク            240cc (小麦粉に対して加水率80%の分量)
  • オリーブ・オイル       少々(小さじ1杯程度)
  • 打ち粉(強力粉)       適量(小さじ2杯程度)

「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンを作るのに使用した機材

使用機材
  • スチーム・オーブン・レンジ
    • 水蒸気が出せて35℃程度でパン生地の発酵に使えて、250℃まで対応するもの
  • オーブン・トースター
    • 食べる直前にパンを加熱して、表面をカリッ、中をシットリ、モッチリ、フワッとさせます。
  • ピザ・ストーン(セラミック石板)
    • オーブントースターの赤外線ヒーターで十分に加熱した後、その余熱でパンを焼くと表面をカリッとさせられます。
  • デジタル・重量計(100均で購入)
  • スケッパー(100均で購入)
  • 霧吹き(100均で購入、発酵時の水分補給)
  • ボール大(100均で購入、底が丸くて、側面のフチが切り立っているものが混ぜやすい。)
  • 200ccの計量カップ(100均で購入)
  • パン型:ケーキ焼型で代用
    • 2次発酵の際に、柔らかい生地が重力で横に広がるのを抑制して縦に膨らますため
  • クッキング・シート
    • 焼き上がり時に、ケーキ焼型からパンを取り出しやすくなります。
    • キッチン・ペーパーを使ってオリーブ・オイルをクッキング・シートにぬると、パンと接する部分が「カリッ」とした食感になります。
  • アルミ・ホイル
    • パンの表面をおおって、焦げを防ぎます。(再利用可)
  • ラップ(発酵時の水分の蒸発を防ぎます。)
  • 冷蔵庫(パン生地の強力粉に水分をなじませ、グルテンを低温熟成させるます。)
  • 小さじスプーン(ドライ・イーストの計量のため)
  • ナイフ
    • 無塩マーガリンを小さなサイコロ状にカットする
    • パンが焼き上がった時にケーキ焼型からパンを外す
  • 粉ふるい(打ち粉をする時に、急須に付属の茶こし網で代用)
  • ケーキ・クーラー:魚焼き用の網で代用(パンの底に空間を作り、効率よく冷ますため)
  • キッチン・ペーパー

「だんちゃん流」高加水タイプ山食パンの作り方

試行錯誤から学んで得られた高加水タイプ山食パンの具体的な作り方をご紹介いたします。

パン生地の作成

ちょっとした豆知識(イースト菌と砂糖、塩の配置)
  • 砂糖はイースト菌による発酵を促進するので、ドライ・イーストと砂糖は近くに配置します。
  • 塩分はイースト菌による発酵を抑制するので、ドライ・イーストと塩とは離して配置します。
ちょっとした豆知識(イースト菌と温度)

強力粉に水分を加える時は、水やミルクなどの水分を35℃に温めると、イースト菌による発酵が促進されます。イースト菌は50℃以上になると死んでしまうので、温め過ぎに注意しましょう。

ちょっとした豆知識(ミキシング・ボールとスケッパーについて)

生地をこねるには、丸形で底が深くてフチが切り立っているミキシング・ボール、先が丸くて硬めのスケッパー(スクレイパーと呼ばれる時もある)が使いやすいです。材質がプラスチックのボールは安くて手ごろですが、生地を混ぜる際に、スケッパーの先端でボールのプラスチックの表面が削れて、生地と混ざるのを防止する配慮が必要です。使いやすいボールの形状で、なおかつ、耐熱ガラス製のミキシング・ボールであれば、電子レンジや食器洗い機を使用でき、サラダ・ボールとしても使え、1つあると便利です。

使用しているボールは側面が切り立っているので、先が丸いケッパーを使ってパン生地を混ぜると、ボールの側面の生地が自然に重力で落ちて中央に集まり、素早く、均一に混ぜることができます。これは、そば打ちで使う「こね鉢」と同じ原理です。

重量計のゼロ・リセット
1) 重量計のゼロ・リセット
強力粉の重量300g
2) 強力粉の重量300g
ドライ・イーストを投入
8) ドライ・イーストを投入
温めたミルクを投入
9) 温めたミルクを投入
生地が一塊になった状態(無塩バターなし)
10) 生地が一塊になった状態(無塩バターなし)
生地にバターをつけた状態
11) 生地にバターをつけた状態
パン生地作成の工程手順
  1. デジタル重量計にボール(大)を乗せた状態で0gになるように、ゼロ・リセットします。
    • ゼロ・リセットにより、ボールの重さを考慮しなくて済みます。
  2. ボール(大)に強力粉を入れて、デジタル重量計の表示が300gになるようにします。
  3. スケッパーでボールの底が見えるように、強力粉を右(または、左)に寄せて、塩を入れる場所を作ります。
  4. 強力粉を右(または、左)に寄せて見えた底に、(重量計の総量が305g=300+5になるように)塩5gを入れます。
  5. 塩5gが見えなくなるように、寄せた強力粉を(はじめの状態に戻すように)かぶせます。
  6. 塩を入れたのと反対の方向に強力粉をスケッパーで寄せます。
  7. 寄せてできた場所に、(重量計の総量が320g=300+5+15になるように)砂糖15gを入れます。
  8. 砂糖を入れた場所の上にドライ・イースト3gを入れて、デジタル重量計の総量を323g(=300+5+15+3)にします。
  9. 電子レンジで35℃に温めたミルクを、砂糖とドライ・イーストを入れた場所に入れ、塩の部分を避けて、ケッパーで素早く、砂糖、ドライ・イースト、強力粉がなじむように混ぜます。
  10. 砂糖、ドライ・イースト、強力粉がなじんできたら、塩を含む残りの強力粉を混ぜ込みます。
  11. ボール内で混ぜた生地が一塊になるようになった時点で、無塩バター(または、無塩マーガリン)をナイフで5~7mm角程度の大きさに切り刻んで、それをケッパーの先を使ってパン生地の表面にすり込むようにして、混ぜ込んでいきます。
  12. パン生地の表面がツルっとして、ミキシング・ボールやスケッパーに生地がくっつかなくなればOKです。パン生地とボールのフチに霧吹きで水分を追加して、1次発酵のためにラップして、室温で放置します。
1次発酵の準備完了の状態
12) 1次発酵の準備完了の状態

1次発酵

1次発酵の工程手順
  1. 1次発酵は、生地の表面が膨らみ、お餅のように表面に張りが出て、丸くなるまで放置します。(室温にもよりますが、2時間程度)
  2. 生地が膨らんだ後に、再度、スケッパーで生地を混ぜます。すると、生地の表面がより滑らかになり、ツヤが出てきます。
    • この時、生地を膨らませていた空気が抜けて、生地が小さくなったように見えますが、問題ありません。小さな気泡と繊維のようなグルテンが生地の内部にできています。
  3. 再度、生地とボールのフチに「霧吹き」で水分を追加して、ラップします。

低温熟成

ちょっとした豆知識(低温熟成の効果)

パンの生地に限らず、小麦粉に水分を加えて混ぜたものを低温で放置すると、水分が生地全体になじみます。

例えば、小麦粉と塩と水で作る「うどん」の場合、材料を混ぜた直後の生地では、「うどん」の麺は乳白色ですが、これを低温で一昼夜放置すると、麺に透明感が出てきてモチモチとした食感にかわります。これは、低温熟成で水分が小麦粉となじみ、グルテンが多くできた事によるものです。

パンの生地でも、この「うどん」の生地と同じ現象が起きているのです。

低温熟成の工程手順
  1. パン生地が入っているラップしたボールを冷蔵庫(4℃程度の低温調理室、または、野菜室)に入れます。
  2. 1晩から24時間程度、低温でじっくり熟成させます。

成形

低温熟成後の生地に打ち粉をした状態
1) 低温熟成後の生地に打ち粉をした状態
台座の生地に打ち粉をした状態
4) 台座の生地に打ち粉をした状態
生地を十字に切り込みを入れて4等分した状態
7) 生地を十字に切り込みを入れて4等分した状態
扇型になった生地の端を中央に集めて丸め込める
8) 扇型になった生地の端を中央に集めて丸め込める
成形の工程手順
  1. 低温熟成で膨らんだ生地の入ったボールを冷蔵庫から取り出し、パンの生地がまだ冷たい状態で、茶こしを使って強力粉を生地の表面に振りかけます。(特に、ボールと生地の境界にやや多めの打ち粉をふりかけると、次の境界にケッパーをいれたときに、ボールと生地の間に打ち粉が入り込み、はがれやすくなります。)
  2. ボールからパン生地が離れやすくなるように、ボールとパン生地の境界にケッパーを差し込んでいきます。
  3. ボールを逆さにすると、パン生地の重みと重力で、台座にパン生地が自然と落ちます。
    • 台座とパン生地の間にはパン生地の表面にした打ち粉(強力粉)がついているので、パン生地が台座にくっつきません。
  4. 台座に落ちたパンの生地の表面(ボールにくっついていた部分が上を向いている)に、茶こしで打ち粉(強力粉)をします。
  5. 打ち粉で手にくっつかなくなった生地を台座に丸く厚さが5から8mm程度になるように手で伸ばします。
  6. 生地を伸ばしている最中に手にくっつきそうであれば、打ち粉(強力粉)を追加します。
  7. 平たく伸びたパン生地を十字に4等分します。
  8. 4等分で扇型になった生地の端を真ん中に集めて丸め込み、「蒸し饅頭」(あんまん、肉まんん)を作るような要領で継ぎ目をなくして、パン生地を丸くボール状にします。(これが唯一、直接、手でパン生地を触る工程です。)4等分した残りのパン生地も同様にして丸め込みます。
生地を蒸し饅頭を作る要領で継ぎ目をなくしてボール状にする
生地を蒸し饅頭を作る要領で継ぎ目をなくしてボール状にする

2次発酵

ケーキ焼型の側面にオイルでクッキング・シートを張りつけた状態
2) ケーキ焼型の側面にオイルでクッキング・シートを張りつけた状態
2次発酵の工程手順
  1. ケーキ焼型にオリーブ・オイルをたらし、ケーキ焼型の内部全体にキッチン・ペーパーでオイルを伸ばしていきます。
  2. ケーキ焼型の内部の周囲に、ケーキ焼型の高さよりやや高い程度に切り取ったクッキング・シートをオイルのついたキッチン・ペーパーで張り付けていき、クッキング・シートの内側(最終的にパン生地と接する部分)にもキッチン・ペーパーでオイルをつけておきます。
  3. 4つの丸くなったパン生地をオイルとクッキングシートのついたケーキ焼型の底の部分に十字に並べます。
  4. オーブン・電子レンジを35℃程度で水蒸気がかかる状態にセットして、ケーキ焼型に入ったパン生地を入れて、1時間半から2時間程度、2次発酵させます。(生地のふくらみ具合で2次発酵の終了時間を見定めます。4つに小分けした生地がつながって、ケーキ焼型内が膨らんだ生地でいっぱいになり、パンの表面に張りがあるぐらいが良い状態です。2次発酵に時間をかけすぎると、生地の表面の気泡が破裂して、生地の表面の張りがなくなります。)
ケーキ焼型に生地を十字に並べた状態
3) ケーキ焼型に生地を十字に並べた状態
生地の2次発酵が終了した状態
4) 生地の2次発酵が終了した状態

1次焼成

1次焼成の工程手順
  1. オーブン電子レンジを180℃(余熱無し)、18分加熱に設定して、2次発酵により生地が十分にふくらんだ状態で焼いていきます。
    • 通常、約18分でおいしそうな焼き色がパン表面につきます。オーブン・レンジのヒーターとパン上部との距離などによって焼き色に違いが出るので、初めての時は表面の焼き色を見ながら加熱時間を調節してください。
パンの表面が1次焼成で焼き目が付いた状態
1) パンの表面が1次焼成で焼き目が付いた状態

2次焼成

パンの上部をアルミホイルでおおった状態
1) パンの上部をアルミホイルでおおった状態
2次焼成の工程手順
  1. パンの表面においしそうな焼き色が付いたら、これ以上焼き色がつかないように、オーブン電子レンジのドアを開けて、パンの上部表面をアルミ・ホイルでおおいます。
  2. さらに、180℃で20分加熱します。
  3. 20分の加熱終了後、オーブンからパンを取り出し、焼き上がったパンをケーキ焼型から取り外します。
  4. グリル網などの上に熱いパンを置くことで、パン表面の水分が蒸発する空間を底部にも確保して、パン全体を室温で冷まします。
パンをオーブンから取り出した状態
3) パンをオーブンから取り出した状態

食べる直前のパンの温め工程(おススメのオプション)

食べる直前のパンの温めの工程手順
  1. パンを食べる直前に、(パンを入れずに)オーブン・トースターで「ピザ・ストーン」(セラミック石板)を加熱します。
  2. オーブン・トースターで(サーモスタットが切れるぐらい)「ピザ・ストーン」が充分に熱くなった後、オーブン・トースターの加熱スイッチを切ります。熱くなった「ピザ・ストーン」の上にパンを乗せて、5分程度、石板の余熱で加熱します。
    • この方法を使うと、焼き色が追加されずに、パンの中までじっくり温められ、外はカリカリ、パンを割った時に中から湯気がフワッとでます。
  3. お好みの食べやすいサイズに切って、さあ、召し上がれ。
切り分けられた高加水タイプ山食パン
切り分けられた高加水タイプ山食パン

「だんちゃん流」高加水パンの応用

高加水タイプ・レーズン山食パン

レーズン入りの高加水パン

高加水タイプ・山食パンのレシピをそのまま利用して、レーズン(乾燥して硬い場合は、「霧吹き」等で水分、または、ラム酒やカシス・リキュールなどを追加して)を生地に加えることで、レーズン山食パンになります。

1次発酵が終わって、パン生地の空気をを抜いて混ぜる段階でレーズンを追加すると、レーズンが生地全体にほどよく散らばり、また、生地とレーズンがよくなじみ、食べていくとレーズンの甘さがアクセントになって、おいしいですよ。

バゲット、および、カンパーニュ

ご紹介した高加水ミルク・パンの材料から次を変更します。

材料の変更ポイント(高加水タイプ山食パン=>バゲット、カンパーニュ)
  • 無塩マーガリン=>使用しない
  • ミルク=>230ccの水に置き換える
  • 塩3g=>6g

高加水ミルク・パンの場合は、パン生地のグルテンに張りを与える程度の塩しか入れていません。塩の分量を3gから6g(強力粉の分量に対して2%)にすることで、バゲットなどハード・パンらしい小麦と塩気が味わえるようになります。

パン型(ケーキ焼型)を使わずに、生地を2つに分けて棒状に成形して、オーブンのトレイにクッキング・シートを敷き、その上に棒状の生地を並べます。

2次発酵でパン生地が膨らんだ状態で、焼く前にパンの表面に軽く打ち粉をして、霧吹きで水分を追加すして焼くと、ハードパンらしい表面の焼き上がりになります。

パンの内部まで熱の通りをよくするために、鋭利なナイフで深めの切り目を入れると、焼ける過程で切り込み部が割れて、バゲットの形になります。

バゲットの外観
バゲットの外観

パン型(ケーキ焼型)を使わずに、ザルに「霧吹き」で湿らせた手ぬぐいを拡げ、生地が手ぬぐいにくっつかないように打ち粉を振ります。打ち粉をした手ぬぐいに生地を入れて2次発酵させます。オーブンのトレイにクッキング・シートを敷き、生地の入ったザルをひっくり返します。、パンの表面に打ち粉をします。すると、手ぬぐいの「しわ」が生地について、趣のある模様になります。次に鋭利なナイフで深めの切り込みを十字に入れると焼ける過程手切込みが割れて、カンパーニュの形になります。 

カンパーニュの外観

最後に

高加水パンは小麦粉に対して水分を70%以上入れるので、生地は非常に柔らかく、手で混ぜると、手にベタベタくっつき、混ぜるのが難しいです。しかし、手の代わりにスケッパーを使って混ぜると、生地が手にベタベタくっつくこともありません。特に、レシピをご紹介している高加水タイプ山食パンの場合、生地を混ぜている間に、油脂が生地全体になじみ、生地の表面がツルっとしてきて、ボールの内部やケッパーにも付着しなくなります。高加水パンは、通常のパン(水分65%程度)と比較して生地が柔らかいため、生地をこねる力が少なくて済むので、女性の方にもおすすめです。

低温熟成という冷蔵庫で水分を生地になじませる工程があるので、生地の混ぜ方が十分でなくても、グルテンの成長が促進され、焼型を使うので焼成で失敗するリスクが減ります。

この記事でご紹介した高加水タイプ山食パンは、ミルクと無塩マーガリン(または、無塩バター)、そしてオリーブ・オイルを使うことで、山食パンのように、パン上部表面がふくらんでオーブンの赤外線ヒーターでキツネ色に焼けた部分、オリーブ・オイルによってパン型と接した側面部および底面部、パンの内部と3種類の違った「カリカリ」、「フワフワ」、「モッチリ」の食感が味わえます。

また、マーガリン(または、バター)やミルクといった油脂のおかげで、パン生地をボール内でこねる際、パン生地がボールやケッパーにくっつくのを防止してくれ、焼型を使うことで2次発酵による膨張によりパンに厚みがでて、強力粉「春よ恋」の特徴である「フワフワ」、「モッチリ」したパンの内部をより多く楽しめます。

まず、最初に高加水タイプ山食パンを作り、高加水パン作りの工程に慣れてきたら、レーズン・パン、バゲット、カンパーニュ、フォッカチオに挑戦してはいかがでしょうか。