「WordPressアップデート徹底解説」は4つの記事から構成されています。
- 【WordPressアップデート徹底解説①】更新する理由と時期
- 【WordPressアップデート徹底解説②】更新の長期ビジョン
- 【WordPressアップデート徹底解説③】更新のための確認と準備
- 【WordPressアップデート徹底解説④】更新と検証
第3回のこの記事では、WordPressを実際に更新するために、準備や確認すべき事をご紹介しています。時間をかけて確認や準備を入念にすることで、更新後の不具合防止に役立ちます。
さあ、この記事を参考にして、あなたのWordPressのバージョン・アップにお役立てください。
データのバックアップ
データのバックアップは「転ばぬ先の杖」です。
WordPress、プログラミング言語PHP、または、WordPressのプラグインなどのバージョンアップや変更の前に、必ず、バックアップを取りましょう。
私は、WordPressのバックアップ・プラグイン「UpdraftPlus」とファイル転送アプリケーション「FileZilla (Client)」を利用して、ローカル・ストレージ・メモリ(外付けハード・ディスク)にバックアップを取っています。このため、もし不具合が起きても、不具合がなかった状態に戻す事ができるので、バージョンアップや変更を迷いなく、新しいことに挑戦できています。
WordPressデータのバックアップの詳細にご興味のある方は、次の関連記事をご覧ください。
また、WordPressのバックアップのためのプラグイン「UpDraftPlus」やファイル転送アプリ「FileZilla (Client)」にご興味のある方は、次の関連記事をご覧ください。
WordPressのシステム構成要素のバージョン確認とアップデート
「【WordPressアップデート徹底解説②】更新の長期ビジョン」で解説しているように、WordPress は、各メジャー・バージョンごとに、特定のバージョンのプログラミング言語「PHP」とデータベース管理システム「MySQL」、または、「MariaDB」が推奨されています。WordPressを目標のバージョンにアップデートする前に、それぞれの構成要素のバージョンの確認、必要であれば、アップデートをしましょう。
おススメ(2023年8月現在)は次の通りです。
- PHP8.2(将来的に1~2年ごとの見直し、メジャー・アップデートが必要)
- MariaDB 10.5(将来的に3~4年ごとの見直し、メジャー・アップデートが必要)
PHPのバージョン確認とアップデート
プログラミング言語「PHP」はWordPressのシステムの根幹をなすものの1つで、WordPressのテーマやプラグインと深いつながりがあります。そのため、WordPressやPHPのバージョンアップをしなければならない場合、テーマやプラグインとの互換性の確認が重要になります。
レンタル・サーバーの「Xserver」を例としたPHPバージョンの確認方法、および、WordPressのテーマとプラグインとの互換性の確認方法とアップデートの方法の詳細は、次の記事をご覧ください。
MySQL、または、MariaDBのバージョン確認
MySQL、または、MariaDBのどちらのデータベース管理システムを使っているかは、ご使用のデータベース・サーバーに依存しています。
私が利用しているレンタル・サーバーの「Xserver」は、データベース・サーバーにMariaDBを使用していて(一部、MySQLのデータベース・サーバーもあり)、使用中ののバージョンがMariaDB 10.5であることをサーバー管理画面「ServerPanel」から確認できましたが、データベースの管理システム(MySQL/MariaDB)の選択やバージョン変更がユーザーでできるようにはなっていません。
別のレンタル・サーバー「Mixhost」では、データベース・サーバーの仕様を調べたところ、「MariaDB 10.1、10.2、10.3、10.5.」(2023年8月現在)となっており、バージョンをユーザーが選択できるという記述はありませんでした。
MySQL、または、MariaDBのバージョンは、レンタル・サーバー会社やその料金プランを選んだ時に決まってしまいます。
レンタル・サーバーを選択する時は、ロードマップを考慮してMySQL、または、MariaDBのバージョンをチェックするようにしましょう。
WordPressのテーマとプラグインのバージョン確認とアップデート
WordPressのシステム構成要素以外に、テーマやプラグインといったWordPressの付随要素があります。WordPressのバージョンアップの際に、テーマやプラグインがプログラミング言語PHP のバージョンと互換性があるか確認しましょう。
私がWordPress 5.4.x以来、最新のWordPress 6.6.xまでアップデートした時の経験をベースにして、手順をご紹介します。
WordPressテーマのバージョン確認とアップデート
ご使用中のWordPressのバージョンが5.4より低い場合は、現状ご使用中のWordPressのテーマやプラグインがPHP(7.3まで)と互換性があるかをWordpPressプラグイン「PHP Compatibility Checker」(ver. 1.5.0)を使って確認します。
次の表は、下記の事項の一覧表です。
- 「PHP Compatibility Checker」を使って得られたPHP7.3との互換性の確認結果
- WordPressをWordPress 5.4.xからWordPress6.6.xにアップデートした経験に基づいたテーマのおススメのバージョンは次の通り。
Theme Name | WordPress 5.4.x (PHP7.3 Compatible) | WordPress 5.5.x | WordPress 5.6.x | WordPress 5.7.x | WordPress 5.8.x |
Cocoon Master | 2.1.3 | 2.2.1 | 2.2.6 | 2.3.3 | 2.4.0 |
Cocoon Child | 1.0.8 | 1.0.8 | 1.0.8 | 1.0.8 | 1.08 |
Twenty Twenty | 1.2 | 1.5 | – | – | – |
Twenty Twenty-one | – | – | 1.1 | 1.4 | 1.4 |
Twenty Twenty-Two | – | – | – | – | – |
Theme Name | WordPress 5.9.x | WordPress 6.0.x | WordPress 6.1.x | WordPress 6.2.x | WordPress 6.3.x | WordPress 6.4.x | WordPress 6.5.x | WordPress 6.6.x | WordPress 6.7.x |
Cocoon Master | 2.4.3 | 2.5.0 | 2.5.7.11 | 2.6.3.4 | 2.6.8.4 | 2.7.2.6 | 2.7.4.6 | 2.7.8 | 2.7.9.1 |
Cocoon Child | 1.08 | 1.0.8 | |||||||
Twenty Twenty | – | – | |||||||
Twenty Twenty-one | 1.5 | – | |||||||
Twenty Twenty-Two | 1.1 | 1.2 | 1.3 | ||||||
Twenty Twenty-Three | 1.0 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | |||||
Twenty Twenty-Four | 1.0 | 1.2 |
当サイトではWordPressの無料テーマ「Cocoon」を使用しています。
WordPressのプラグイン「PHP Compatibility Checker」のインストール方法や具体的な使用方法にご興味のある方は、次の関連記事をご覧ください。
WordPressプラグインのバージョン確認とアップデート
WordPressのプラグインを「PHP Compatibility Checker」を使って、PHPバージョン7.3との互換性を検証済みのバージョン、WordPressをそれぞれWordPress5.4.x~WordPress6.3.xにアップデートした時の経験に基づいたおススメのバージョン例を次の表でご紹介します。
Plugin Name |
WordPress 5.4.x / PHP7.3 Compatible | WordPress 5.5.x | WordPress 5.6.x | WordPress 5.7.x |
HREFLANG Tags Lite | 1.9.3 | 1.9.6 | 1.9.9 | 2.0.0 |
Polylang | 2.7.1 | 2.8.0 | 2.9.2 | 3.0.6 |
UpdraftPlus | 1.16.23 | 1.16.26 | 1.16.47 | 1.16.59 |
WordPress Ping Optimizer | 2.35.1.2.0 | 2.35.1.2.2 | 2.35.1.2.3 | 2.35.1.2.3 |
Google XML Sitemaps | 4.1.0 | 4.1.1 | 4.1.1 | 4.1.1 |
Contact Form 7 | 5.1.7 | 5.2.1 | 5.3.2 | 5.4.2 |
GDPR Cookie Consent | 1.8.7 | 1.9.0 | 2.0.0 | 2.0.4 |
EWWW Image Optimizer | 5.2.5 | 5.7.0 | 6.0.3 | 6.2.1 |
SiteGard WP Plugin | 1.5.0 | 1.5.2 | 1.5.2 | 1.6.0 |
WP Multibyte Patch | 2.8.4 | 2.9 | 2.9 | 2.9 |
Regenerate Thumbnails | 3.1.3 | 3.1.3 | 3.1.4 | 3.1.5 |
Advanced Edito Tools (Former: TinyMCE Advanced) | 5.4.0 | 5.5.0 | 5.6.0 | 5.6.0 |
Edit Author Slug | 1.6.1 | 1.7.0 | 1.8.1 | 1.8.2 |
Invisible reCapcha | 1.2.3 | 1.2.3 | 1.2.3 | 1.2.3 |
PS Auto Sitemap | 1.1.9 | 1.1.9 | 1.1.9 | 1.1.9 |
WebSub/PubSubHubBub | 3.0.3 | 3.0.3 | 3.0.3 | 3.1.0 |
Asset CleanUp | – | – | 1.3.7.5 | 1.3.8.0 |
Broken Link Checker | – | – | 1.11.15 | 1.11.15 |
Plugin Name | WordPress 5.8.x | WordPress 5.9.x | WordPress 6.0.x | WordPress 6.1.x | WordPress 6.2.x | WordPress 6.3.x | WordPress 6.4.x | WordPress 6.5.x | WordPress 6.6.x |
HREFLANG Tags Lite | 2.0.0 | ||||||||
Polylang | 3.1.4 | 3.2.2 | 3.2.7 | 3.3.2 | 3.4.5 | 3.5.2 | 3.6.0 | 3.6.3 | 3.6.5 |
UpdraftPlus | 1.16.69 | 1.22.12 | 1.22.23 | 1.23.1 | 1.23.7 | 1.23.10 | 1.24.2 | 1.24.4 | 1.24.7 |
WordPress Ping Optimizer | 2.35.1.2.3 | 2.35.1.3.0 | |||||||
Sitemap Generator for Google (former: Google XML Sitemaps) | 4.1.1 | 4.1.2 | 4.1.7 | 4.1.11 | 4.1.13 | 4.1.19 | 4.1.21 | ||
Contact Form 7 | 5.5.4 | 5.5.6 | 5.6.3 | 5.7.4 | 5.7.7 | 5.8.1 | 5.9.3 | 5.9.7 | 6.0 |
GDPR Cookie Consent | 2.0.8 | 2.1.2 | |||||||
EWWW Image Optimizer | 6.4.0 | 6.5.1 | 6.9.1 | 6.9.3 | 7.2.0 | 7.2.1 | 7.4.0 | 7.7.0 | 7.9.1 |
SiteGard WP Plugin | 1.6.0 | 1.6.1 | 1.7.2 | 1.7.3 | 1.7.5 | 1.7.6 | 1.7.7 | 1.7.8 | |
WP Multibyte Patch | 2.9 | ||||||||
Regenerate Thumbnails | 3.1.5 | 3.1.6 | |||||||
Advanced Editor Tools (Former: TinyMCE Advanced) | 5.6.0 | 5.9 | 5.9.2 | ||||||
Edit Author Slug | 1.8.3 | 1.8.4 | 1.9.0 | 1.9.1 | |||||
Invisible reCapcha | 1.2.3 | ||||||||
PS Auto Sitemap | 1.1.9 | ||||||||
WebSub/PubSubHubBub | 3.1.1 | 3.1.2 | 3.1.3 | 3.2.0 | |||||
Asset CleanUp | 1.3.8.5 | 1.3.8.7 | 1.3.9.1 | 1.3.9.2 | 1.3.9.3 | 1.3.9.7 | |||
Broken Link Checker | 1.11.17 | 1.11.18 | 2.0.0 | 2.2.1 | 2.2.3 | 2.2.4 | 2.3.0 | 2.4.1 |
- WordPress5.9.x=>上記の表のWordPress5.9.xの下の列に書かれたバージョン
- WordPress5.8.x=>オレンジ色の背景色
- WordPress5.7.x => 水色の背景色
- WordPress5.6.x => 緑色の背景色
注)WordPressのメジャー・バージョンは「.x」が付きません。セキュリティやメインテナンスのためのアップデートのバージョンにはリリースに応じて「x」に1や2をはじめとする番号が入ります。
WordPressをアップデートする前に、テーマやプラグインをアップデートすることをおススメします。
jQueryバージョンの対応確認
jQueryは、Webブラウザのためのコードをライブラリ化したJavaScriptです。このライブラリを使うことによって、Webブラウザの依存性を軽減できるため、多数のWordPressテーマ(例:Cocoon)やプラグインで使用されています。
jQuery migrateは、jQueryのバージョンの違いによって発生する問題を互換性を取り、解決してくれるJavaScriptです。
jQueryやjQuery Migrateにはいくつかのバージョンがあり、WordPress5.5、WordPress5.6、WordPress5.7のアップデートで段階的に古いバージョンのjQueryやjQuery Migrateのサポートがなくなります。
そこで、jQuery状態を擬似的に新しいバージョンの環境にしてWebサイトの表示に問題が起きないかをテストするための次のようなWordPressプラグインが用意されています。これを利用して、あなたのWebの表示やエディターに問題が起きない確認をおススメします。
- Test jQuery Updates
- WordPress5.6、および、5.7はjQuery 3.5.1、jQuery UI 1.12.1をサポート、JQueryMigrateが無効になっています。このプラグインはその状態を擬似的に作り出し、あなたのWebに問題が起きないかをテストすることができます。(このプラグインVer. 2.0.0が動作するにはWordPress5.6にアップデートが必要です。)
- Enable jQuery Migrate Helper
- WordPress5.5より新しいWordPressバージョンではjQuery Migrateが初期状態でオフになっています。このプラグインはその状態を擬似的に作り出し、あなたのWebに問題が起きないかをテストすることができます。
まとめ
この記事ではWordPressのバージョンアップのための確認と準備として、まず、バックアップを取ることをおススメしています。
特に、WordPress5.7 (または、WordPress 5.6)より新しいバージョンへのアップデートはjQueryバージョンのサポート状況を確認しましょう。
テーマとプラグインのPHP7.4との互換性は「PHP Compatibility Checker」(Ver1.5.0:2020年6月現在)でチェックできないので、本サイトでWordPressをアップデートした時の経験に基づいておススメのバージョンをリストでご紹介しましたので、参考にご利用ください。
具体的なWordPressのデータのバックアップの取り方やツールの使い方は本文中のリンク先の関連記事で詳しく解説しています。是非、一読いただき、あなたのサイト運営にお役立てください。
次の記事では、WordPressのアップデート方法と検証方法について解説しています。あわせて、ご覧ください。